製造や建築・土木などで注目を集める、ゲーム分野で培われたCG&ゲームエンジン技術の活用
さまざまな業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが進む中、いま、CGやゲームエンジンといった、エンターテインメントの世界で活用されてきたテクノロジーが産業分野で注目を集めています。自動運転や製品検査など、機械学習による画像認識用の教師データをはじめ、建築におけるxRやゲームエンジンを使ったデジタルツインなど、さまざまな場面でCGによるリアルタイムビジュアライゼーションの活用が先進的な企業を中心に進展し、成果を出し始めているところです。この記事では、当社が考える今こそ取り組むべきCG活用ソリューションの数々とその有益性をご紹介します。
DX推進で注目されるCG&ゲームエンジン活用
少子高齢化による労働人口減少に対する労働生産性の向上や、グローバルな競争激化と市場の急速な変化に対応すべく、あらゆる産業分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが推進されています。その動きはコロナ禍において加速傾向にあり、企業がニューノーマル時代を勝ち抜くためにも、もはやデジタル技術の活用は避けて通れません。
そのような状況の中、CGやゲームエンジンといった、これまではゲームや映像などのエンターテインメントの世界を中心に利用されてきたテクノロジーが注目されています。
Society 5.0の実現に向け、現実空間を仮想空間に再現するデジタルツインの活用においては、可視化のためのCGによるビジュアライゼーションや、AR・VRなどのxR技術が不可欠です。デザインやビジュアライゼーション分野でCG化が先行してきた自動車や建築、製造などの業界では、物体検知や製品検査、自動運転などの機械学習における教師画像として、CGは実写の代替えデータとして有用性が認識され、活用が進んでいます。
また、建築・土木やプラント業界で普及が進みつつあるのが、表面形状をLiDARや3Dレーザースキャナーなどで計測することにより得られる点群データの活用です。リバースエンジニアリングやBIMデータ化、品質管理やグラフィックコンテンツ制作などを目的として、CGレンダリングの技術やモデリング技術によるメッシュ(ポリゴンサーフェス)などジオメトリデータへの変換、3Dデータを活用したVRなどのリアルタイムコンテンツ制作など、CGビジュアライゼーションのニーズが高まっています。
リアルタイム性や高品質な描画が求められるバーチャル空間の構築では、ゲームエンジンが使われるケースも増えています。
ゲームエンジンは、ゲームを開発するために作られた統合開発環境です。UnityやUnreal Engineなど、ゲームエンジンには3DCGのリアルタイム処理を前提としたレンダリング、アニメーション、衝突判定といった主要な機能があらかじめ備わっており、CGによるシミュレーション環境やアプリケーションなどを、容易に、素早く構築することができます。異なる複数拠点によるバーチャル空間を介したコラボレーション環境も構築可能です。また、機械学習を実現するライブラリーが備わっているものもあり、多様なシチュエーションを安全且つ簡単に用意することができ、実時間以上の速度で学習できることから、機械学習のためのツールとしても注目されています。
このように、産業分野におけるCGやゲームエンジンの利用が注目されてはいるものの、最大限に有効活用するためには、限られたリソースの中で高速なレスポンスと高品質な表現を実現させるためのノウハウと技術が必要です。
当社では、CGの黎明期から今日に至るまで、ゲーム&エンターテインメント業界でリアルタイム3DCGに関する技術力、表現力、発想力を培ってきました。独自開発のミドルウェアやゲームエンジンも有し、技術力、表現力、発想力の3つを高い次元で融合させることにより、与えられた環境の中で最高のパフォーマンスを発揮させながら、課題を解決することができます。
私たちシリコンスタジオは、CG業界をリードするソリューションプロバイダーとして、以下に挙げるソリューションをはじめ、お客さまの課題解決はもちろん、付加価値のあるアウトプットの提供をお約束いたします。
機械学習向け教師画像用CG
これまで画像認識を目的とした機械学習では、教師データとして実写の画像を大量に揃えなければならないことが課題の1つでした。特に異常検知や危険検知においては、正常画像に比べて再現が難しく、撮影、収集が困難なケースも多く見られます。
そのような課題の解決策としてご検討いただきたいソリューションが、機械学習向け教師画像生成ソリューション『BENZaiTEN(ベンザイテン)』です。製造業における外観検査や設備監視・認証、ロボットアームによる部品選別・仕分け、自律走行・自動運転支援、人物認識など、さまざまな用途で実写に代わる教師データとしてご利用いただけるリアルタイム3DCGをご提供いたします。
少量のサンプル画像から、数万枚の画像データを量産。リアルタイムグラフィックスにより、低コストで多彩なバリエーション表現が可能です。物理ベースレンダリングによる100%正確で高品位な教師データ(アノテーションデータ)をラベリングされた状態でご提供いたします。
https://www.siliconstudio.co.jp/products-service/ai-cgdata/
- 教師画像CG生成
- 不良判定用CG
- 人物(顔・表情)認識用CG
- 組立て部品・パーツ認識用CG
- 学習用シーン映像CG
- 教師画像用CG生成ツール開発
- シミュレーション環境開発
ゲームエンジン活用
近年、建築や自動車業界を中心とした非エンターテインメント領域において、ゲームエンジンがシミュレーターなどノンゲームの開発で利用されるケースが増えています。しかし一方で、やりたいことのイメージはあるものの、CADからゲームエンジンへのデータ変換方法や使い方、設定方法がよくわからず、手間がかかるので実用的ではない、といった声も少なくありません。
当社では、自社開発による国産ゲームエンジンを有しながら、Unreal EngineやUnityをはじめ、さまざまなゲームエンジンを活用した案件を数多く請け負う中、柔軟に対応できるスキルと体制を整えてまいりました。
ゲームエンジンで使用されるシェーダー開発やエンジン自体の改造・拡張にも対応しながら、レンダリングのみならず、画像処理や各種アルゴリズムの開発、研究開発支援の分野で豊富な実績を有しています。テクニカルアーティストチームおよびプログラマーチームでは、各種CADからゲームエンジンへのデータ変換の効率化、半自動化のサポートが可能です。
ゲーム&エンターテインメント業界で培ってきたリアルタイム3DCGに関するノウハウと技術を活かし、さまざまなゲームエンジンを活用した開発におけるお客様のご要望にお応えしています。
https://www.siliconstudio.co.jp/products-service/game-engine/
- データ変換フロー最適化
- システムインテグレーション
- デザインレビューシステム提供
- シミュレーション環境開発、アセット提供
- コンフィギュレーター、各種アプリケーション開発
点群データ活用
建築・土木業界では、施主、施工者、協力会社が施工内容や進捗を共有できる環境作りにより生産性を向上すべく、点群データを活用したDXへの取り組みが大手を中心に進みつつあります。
しかしながら、点群データの扱いに関する専門知識や技術を有する人材を自社で確保することは容易ではありません。また、点群データをフルに活用するには、質の高いポリゴン化が欠かせないものの、自動生成ソフトではノイズや貫通などの不良が生じるケースが多く、ビジュアル的にも妥協を強いられがちです。
サイバー空間内に物理的な現実世界を再現させるデジタルツインが注目される中、膨大な点群データをいかに適切に処理し、いかに活用するかは、業種・業界・分野を問わず多くの企業が課題として抱えています。
当社は、CG制作で培ったレンダリング技術やモデリング技術、各種受託開発で培ったソフトウェア技術により、点群データそのものの表示はもちろん、LiDARなどで取得した大規模な点群データの活用によるメッシュ(ポリゴンサーフェス)などのジオメトリデータへの変換、3Dデータを活用したVRなどのリアルタイムコンテンツ制作まで、以下に挙げるソリューションで、お客様のCGビジュアライゼーションに対するニーズにお応えします。
https://www.siliconstudio.co.jp/products-service/pointclouds/pointillism/
- 点群データのメッシュ(ポリゴン)化
- 専用ビューア開発
- 各種機能開発
- シミュレータやVRなどのリアルタイム3DCGコンテンツやゲーム、映像制作
- 大規模点群データとメッシュの重畳表示・編集を可能にするMayaプラグイン「Pointillism」
以上、ご紹介したソリューションに関する詳細は各Webサイトをご覧ください。ご不明な点があればお問い合わせいただければ幸いです。Webでは掲載していない事例などの情報もご紹介させていただきます。